DISCOGRAPHY >> RAINBOW

原題:Rainbow
邦題:RAINBOW
発売日:1999年10月27日
レーベル:Sony
カタログNO:SRCS 2222

●REVIEW & BACKGROUND
 1999年に発売されたMariah6枚目のオリジナル・アルバム。なんと今作ではこれまでのMariahに欠かせなかったWalter Afanasieffとの曲が一曲も収録されていません。Tommyの策略だというような憶測も飛び交いましたが、一転してメインでプロデュースを担当するようになったのが、Janet Jacksonで有名なJimmy Jam & Terry Lewisです。彼らに加えて、Diane Warren、David Foster、Jermaine Dupri、Kevin Briggs、DJ Clueなど多彩な顔ぶれがサポート。参加アーティストも、Jay-Z、Missy Elliott、Da Brat、Snoop Dogg、Usher、Joe、98°ととても豪華です。というのも今まではレコード会社の戦略で他のアーティストをアルバムに迎えることが出来なかったそう。レコーディングはイタリアのカプリ島で行われました。アメリカでは初登場2位を獲得。全世界では1000万枚の売り上げを記録し、日本でも100万枚を売り上げました。

 このちょっと可笑しくて可愛いジャケットに驚いた人もいるのでは…(笑)実はMariah自身、このジャケットが「ハッピー&カラフル」で一番好きなんだそうです。"Rainbow"というタイトルについてMariahは、「声にしろ血にしろ、そういったそれぞれ違うものが一つに合わさってこそ、素晴らしいハーモニーやパワーが生まれてくると思う。これは差別や人種といったことを超えた愛を願ったアルバムなのよ!」とコメントしています。全体的にシンプルなアレンジの曲が多いですが、どの曲も何重にも重なったコーラスが美しい印象。Mariahがハッピーに楽しんで作り上げたという雰囲気の作品です。

 Chris O'DonnelleとRenee Zellweger主演の映画『プロポーズ』にチョイ役で出演後、もともとこのアルバムはMariah主演の映画用(当時予定されていたタイトルは"All That Glitters")に作られたものでしたが、脚本の方が間に合わずにサントラは後回しになりました。

 同年11月にはアルバム・プロモーションで4度目の来日を果たしました。年末にはBillboard Music Awardsで"Artist Of The Decade"を受賞。翌年のヴァレンタイン・デーにベルギー公演からRainbowツアーをスタート。3月の日本3公演を含めた全19公演をこなしました。アメリカ本土でのツアーはなんと8年ぶりということで本土のファンは大喜びだったことでしょう。因みに、このツアーでMariahは初めて大阪を訪れました。またお台場では"Tokyo"と名付けられた猫を購入。

●TRACK LIST
1. Heartbreaker
2. Can't Take That Away (Mariah's Theme)
3. Bliss
4. How Much
5. After Tonight
6. X-Girlfriend
7. Heartbreaker (Remix)
8. Vulnerability (Interlude)
9. Against All Odds (Take A Look At Me Now)
10. Crybaby
11. Did I Do That?
12. Petals
13. Rainbow (Interlude)
14. Thank God I Found You

SINGLES FROM THIS ALBUM

HEARTBREAKER
邦題:ハートブレイカー

 DJ ClueプロデュースでJay-Zをフィーチュアしたファースト・シングル。"Gimme your love"というフレーズがとてもキュートでキャッチーな曲で、Stacy Lattisawの"Attack Of The Name Game"をサンプリングしています。"Fantasy"と似た雰囲気だと思います。1999年9月4日付け60位で初登場し、翌月2週連続で全米ナンバーワンを獲得。

 リミックスも凝っていて、DJ Clue、Missy Elliott、Da Bratが参加。Snoop Doggの"Ain't No Fun (If The Homies Can't Have None)"をサンプリングし、そのまま女性目線でのアンサー・ソングのようになっています。Junior Vasquezプロデュースの別のリミックスではThe Real McCoyの"If You Should Ever Be Lonely (Deep In The Night)"をカヴァーしています。

 ミュージック・ビデオも非常に面白い作りで、Mariahの双子(という設定の)Biancaが登場し大乱闘を繰り広げます。

THANK GOD I FOUND YOU
邦題:サンク・ゴッド・アイ・ファウンド・ユー

 Jimmy Jam & Terry Lewisプロデュースのバラードで、人気R&BシンガーのJoeと現在は解散してしまったR&Bグループの98°をフィーチュア。Mariahのラヴ・ソングでは珍しいとてもハッピーな内容で結婚式にピッタリの曲。1999年12月11日付け初登場82位、翌年2月に全米1位を獲得。これでMariahのナンバーワンは15曲目。女性アーティストでは勿論断トツのナンバーワンで、The BeatlesとElvis Presleyに並ぶ大記録となったのでした。

 Keith Sweetの"Make It Last Forver"をカヴァーしたリミックスでもJoeを起用。別撮りのミュージック・ビデオはプロモーションで訪れたドイツで撮影されました。コンサートではJoeの代役としてTrey Lorenzがパートを担当。

 なんとこの曲、裁判沙汰になるトラブルに巻き込まれました。Xscapeの"One Of Those Love Songs"と非常に似ているということで作曲者側が盗作疑惑でMariahを訴えたのですが、そのような事実はなく敗訴となっています。

 日本では、Mariah本人が出演した某缶コーヒーのCMソングとして起用されました。CMは2種類オンエアされ、2つ目ではMariahがチャイナ・ドレスを着たファイターやF1レーサー、サッカー・プレイヤーといったコスプレを披露。

AGAINST ALL ODDS (TAKE A LOOK AT ME NOW)
邦題:見つめて欲しい

 Phil Collinsの84年の大ヒット曲をカヴァー。わりとどの曲もオリジナルに近い形でカヴァーするMariahですが、後半はMariahらしいアレンジで見事自分の曲に仕上げています。最初ヨーロッパでリリースされましたが、後にUKの人気ボーイズ・グループWestlifeが参加した別テイクがレコーディングされ、アメリカを除く各国で改めてリリースされました。LAで彼らのパフォーマンスを見たMariahがアタックしたという話。UKでは1位に輝いています。

 その後もWestlifeとの交流は続いているようで、Mariahが"Glitter"のプロモーションでロンドンを訪れた際にはテレビ番組で一緒に"Hero"をパフォーマンスしていました。

CAN'T TAKE THAT AWAY (MARIAH'S THEME)
邦題:キャント・テイク・ザット・アウェイ(MARIAH'S THEME)

 Mariahのテーマと題されたバラード。Jimmy Jam & Terry Lewisプロデュースで、ストリングスとピアノのイントロから始まるシンプルなアレンジ。Mariahにとってとても大事な内容の歌で「私の内に秘めた光は、誰にも奪えないわ」と歌っています。個人的にとても共感出来る歌詞で大好きな曲です。

 この曲もまた問題があり、当初Sony側は次のシングルはアップテンポが良いと考えていましたが、Mariahたっての希望でこの曲がシングルとしてリリースされました。しかしSonyはプロモーション活動をさせずにラジオでもかからないというような状況の中、Mariahはファンに救いを求めてオフィシャル・サイトに必死にメッセージを残します。("Crybaby"へ続く…)

 シングルには、Mariahの2度目の出演となったVH1 Divas Live 2000でのライヴ音源が一曲収録されています。その回はDiana Rossトリビュートということで、MariahはDiana Rossの"Love Hangover"をカヴァー。"Heartbreaker"とメドレー仕立てでパフォーマンスしています。

CRYBABY
邦題:クライベイビー
(日本盤未発売)

 Snoop Doggを迎えた、Damizzaプロデュース作品。こっそりTrey Lorenzが制作に参加しているところもポイント。Guyの"Piece Of My Love"をサンプリングしたとってもダークな曲です。上で書いた"Can't Take That Away (Mariah's Theme)"のB面としてリリースされました。

 さて、メッセージを残し必死に頑張るMariahの姿を見て、Sonyが重たい腰を持ち上げた時既に遅し、2000年6月24日付け初登場28位でそのまま短期間でランキングからは姿を消してしまいました。

 ミュージックビデオでは、ちょっとブレイクダウン寸前のMariahを観ることができます。